Outlineプロジェクト概要

ワンヘルス・教育・官民連携による
顧みられない人獣共通感染症介入の
共同デザインに関する研究開発

本プロジェクトは、2024年から2029年までの5年間、AMED(日本医療研究開発機構)- JICA(国際協力機構)による地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)プログラムの枠組みのもとで実施しています。

上位目標

プロジェクト終了後5~10年内の目標は、タンザニア国モロゴロ州において、ブルセラ症および人獣共通結核に対する制御アプローチ強化されていることです。

プロジェクト目標

プロジェクト終了時には、モロゴロ州の介入地域において、ワンヘルス・教育・官民連携によるブルセラ症及び人獣共通結核の制御アプローチ確立されていることを目標にしています。

背景とねらい

ブルセラ症は、世界で最も広く蔓延する人獣共通感染症の一つで、毎年世界で50万人以上が新規感染しています。本病は人に長期間にわたって波状熱、関節炎を起こし、労働力を奪います。牛、山羊等の家畜には流産、泌乳量低下により大きな経済損失をもたらします。結核には、毎年1千万人が感染し、そのうち牛由来Mycobacterium bovisによる人獣共通結核には15万人が感染しています。人は乳製品の喫食等で人獣共通結核に感染します。牛結核感染牛は泌乳量が低下し、生産性を損ないます。

多くの先進国では、未殺菌牛乳販売の禁止、動物はブルセラ症ワクチン接種、検査陽性動物摘発淘汰により両疾病を清浄化しています。ブルセラ症と牛結核病は国際獣疫事務局(WOAH)指定疾病ですが、世界保健機関(WHO)の顧みられない熱帯病(NTD)には含まれていません。WHOはこれらを「忘れられた顧みられない人獣共通感染症」とし、両疾病の統合的制御を推奨しています。これらの感染症が常在国で放置される原因として、保健・農業など複数のセクターでのワンヘルスが確立されていないこと、人的・経済的資源が十分でないこと、病気の被害・原因が家畜飼養者、消費者、政府に正しく認識されていないことが挙げられています。

本研究は、不十分な公的資源・セクター間連携・真の被害の認知のために放置されている人獣共通感染症制圧に、サイバー空間とフィジカル空間の融合による仮想空間でのステークホルダー共同でのシミュレーションにより、ワンヘルス(保健・農業など複数のセクターでの異分野連携)・教育・官民連携を推進し、感染症学・社会経済学・人類生態学が融合した総合知を用いる概念を証明し、地球規模での問題解決に貢献しようとするものです。

プロジェクトサイト

タンザニア国モロゴロ州(ダルエスサラームから西へ約200kmの地点)